『縛』
『あー。だめだ。寝れない。』

ベランダから、
地上を見下ろす。

市街地から、多少離れた
この場所は、それでも人が多くて
視界に入る交差点は
人でごった返している。


そこにいるのは、

今イチ、気持ちが
ここにないような、
子供連れの夫婦。

友達どうしで、
小競り合いをする高校生。

手を繋ぎ、
満面の笑みの恋人達。


いつもの生活時間では、
見慣れない光景が
広がっていた。


サラは、この中で
生活しているんだろうか?

ああやって、


泣かなきゃいけないほど
何かを押さえ込んで。

泣いてる事すら、
認識できないほど、
自分に嘘をついて。

彼女も、このヒトゴミの中を
闊歩してるんだろうか?


この時間帯の世界には、


俺の知らないモノが
あるんだろうか・・・?


仕事と生活時間が、
違っているだけで、
人間なんて大差無いと、
思っていたけど。

間違ってんのかな・・・


三日続きの、
晴れない気持ちに、
ため息が零れた。


 
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