愛は要らない
専務室の前には、秘書室があり、そこには綾野よりも年上で、仕事のできる女性が働いている
「奥様。ご連絡いただければ、出迎えましたのに」
エルメスの香りをまとって、結子が綾野の前に立つ
「いいんです。これを届けに来ただけなので」
封筒を結子に渡して、綾野は帰ろうとする
「奥へどうぞ。専務はすぐに戻りますので」
「え・・・。は、はい・・・」
逆らうことのできない笑みを浮かべる結子に、綾野は諦めて、後を追うことにした