愛は要らない
白鳥の囁き


どれくらいの時間がたったのか

時計を見れば、夜の9時近い


「・・・・・・あぁ・・・・・・」


重い頭を持ち上げて、遥は疲労のこもるため息を漏らす


「よくよく考えてみれば、僕は綾野のことを・・・何も知らないな」


両親が亡くなっていること

大学へ進学したいこと

聞けば教えてくれる、そんな当たり前のことしか、遥は知らない


「好きなものも、嫌いなものも・・・」


何も知らない

これじゃ確かに、【夫婦】とは言えない


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