愛は要らない


そこに未練があるかなど、遥には分からない

綾野の心に、まだ自分はいるだろうか?


「黄昏とるのお、バカ孫」

「お祖父さん・・・」


丈之助が差し出したのは、真っ赤なワイン


「綾野さんは、わしの初恋の人に良く似ている」

「聞いたよ」


グラスを受け取り、ワインを眺める


「良く似ているはずだ。綾野さんは、わしの初恋の人の孫だ」

「・・・・・・・・・・・・冗談、だよね?」

「身分の違いで、わしは政略結婚。後で、彼女が結婚したことを知った」


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