逢瀬を重ね、君を愛す



――-数年後


なぜか、とある日から無性に日本史が大好きになった。
とくに平安時代。いろいろ調べていくうちに、わかったことがある。

バスに揺られ、とある神社にたどりつく。
桜が満開に咲き誇る中に建てられたお寺。ここは、平安時代のとある代の帝が上皇になった際に建立したらしい。

砂利を踏みしめながら境内へ進むと、どこか懐かしい感じが舞い込んでくる。


「…あれ?初めてきたよね…」


おかしいと首をひねっていると、後ろから足音が聞こえた。
慌てて振り返ると、着物を着たおばあさんが立っていた。


「あ・・・!初めまして!●●大学4年の本式彩音です!!今日はよろしくお願いします」


勢いよく頭をさげると、おばあさんは朗らかに微笑んだ。


「あらあら、こちらこそ。桜宮春香と言います。最近の学生さんは大変ねえ、こんな無名のお寺を調べるなんて」

「いえ!私の好きな事ですので…」

「ここは私の家だもの、なんでも聞いて頂戴。」



そういってくれるおばあさんに彩音は素直にうなずく。




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