逢瀬を重ね、君を愛す
「ふっ…彩音。朝から桜乃を困らすな。」
軽い笑いの混じった声に戸を見ると、背を預けて立っている薫がいた。
彩音は立ち上がって、薫へ近づく。
「あ、おはよう薫。」
「ああ。よく眠れたか?」
薫の手が頬に触れる。
実は最近…というより、こっちに来てから余り寝ていない。寝れない。
その事がバレないように、大丈夫と軽く振り、それより!!と話を続ける。
「やっぱり、何かするよ。ただでおいてもらうのも悪いし…」
と言ってみて、考えた。
今まで、家事は愚か、手伝いさえあまりしない彩音だ。
今になって少しでもやっておけば良かったと後悔する。
「別に俺が勝手に住まわしてるから、彩音が気にする必要は無いんだが……」
ふむ。と考え込む薫。
「なら…世話係でもするか?」
薫の言葉に彩音は目を丸くする。
「…誰の?」
「俺の。」