逢瀬を重ね、君を愛す
おずおず本を差し出す。
受け取った薫は眺めると、懐かしいと呟いた。


「いや、彩音が気に入ったならいい。ここにあるの、全部好きに呼んだらいい。」



そう言って本を彩音に手渡す。
受け取った彩音は笑顔で頷いた。


穏やかな空気が流れた時、その空気をぶち壊すように誰かが叫んだ。



「陰陽寮の者です!!帝に謁見願いますっ!!」


大きな声だと思っていると、小さく薫がヤバイと呟いた。

疑問に思った彩音が顔を上げると、蛍が慌てて手を引っ張っり、屏風裏へ行く。
何をするのかと思うと、壁に手を着く蛍。
すると、壁が動き道があった。

どうやら裏道らしい。
そこへ蛍が彩音の背を押す。


「へ?何!?」

「彩音殿、ここから部屋へ行ってください。繋がってますから。」


それだけ言い残すと、蛍は客人の方へ歩いていく。

最後に見えたのは薫で、小さくごめん。と口が動いたのが見えた。

彩音は指でOkを作り、不思議な道へ足を踏み入れた。
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