逢瀬を重ね、君を愛す


「はい。とれた」


笑顔で握った手を
つきだされる。


「虫ってなにー…」


眉間に皺を寄せてそのてを凝視すると、薫が笑った。


「嘘だよ、嘘。」

「は!?」


そう言って開かれた薫の手にあったのは2、3枚の花びら。


「ちょっと!!どこが虫よー!!」

「彩音が引っ掛かりやすいんだよ」


立ち上がった薫は、彩音の攻撃を避けながら逃げる。
そしてそれを追いかける。

届けばいい。

この伸ばした手と同じように、


――私の思いも届けばいい。
< 72 / 159 >

この作品をシェア

pagetop