生きよっかな

八月の川

盆を過ぎ夜にせせらぐ流水は

ひんやりを通り越し

肌を少し突き刺し



夜中に何故、川に入る

夜の鮎は動きが鈍いんです

鮎を穫りに行くんです



水中に灯りを巡らせ

鮎を見つけたら深く潜り

僅かな動きで近づく

そうっ と

冷たさに酸素の消費を感じながら


鉾を構え

二尺程まで寄せ

鉾から手を離す


するとゴムの反動により

鉾は静かに鋭く

鮎を射抜いた


射抜けば素早く水面へあがり

大きく息を吸う

抑圧された呼吸は

大量の酸素を血液へと運ぶ

血液が全身に巡ることを感じながら

また鮎を探した
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