王国ファンタジア【流浪の民】
「やあ」
「! どうも」

 声をかけてきた青年に赤毛の少女は、いぶかしげに小さく頭を下げた。

「ベリルだ。君は?」
「フェニックスです」

 差し出された手に素直に答える。

「! ララミーか」

 そんなベリルの目に一瞬、ムッとする。それに、ベリルはキョトンとした。

「! ああ……」

 そしてすぐに気が付く。ララミーには白い翼がある。

 しかし、彼女の背に翼は無かった。

「綺麗な瞳だ」

 ベリルは弁解もせず、そう言った。フェニックスのガラス玉のような瞳を見つめる。

「えっ!?」

 予想外の言葉が返ってきて、フェニックスは目を見開いた。

「フェニックス。良い名だな」
「あ、ありがとう……ございます」
< 152 / 246 >

この作品をシェア

pagetop