王国ファンタジア【流浪の民】
「や~それにしても、こんな結末が待っていようとはね~」

 バジルが呑気に言う。

“タタッ……”

「ん?」

 エナがベリルの前に来て、じっと見つめた。そしてその手をそっと取り、

「アップルパイ」
「あ、ああ。また作っておくよ」
「そんな要求!?」

 ユリエスがツッコむ。

「レイン」
「! なんだよ」

 ベリルは、近くにいたレインを呼び止めた。

「明日、私の処に来なさい」
「何をエラそうに……」

 ズイと顔を寄せられ、あとの言葉を飲み込む。ベリルは間近で少年に笑いかけ、

「いいから、来なさい」
「っ行けばいいんだろっ」

 よろしい。ベリルはしれっと応え、また歩き出した。

「……」

 妙な威圧感出しやがって……レインはドキドキした。
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