王国ファンタジア【流浪の民】
 少女の名はエリナ。可愛いピンクのリボンがトレードマーク。

 少年の名はダグ。父親譲りのシルヴァブロンドの髪だ。

 ダグは4歳。エリナは3歳である。2人の子どもはベリルから離れなかった。

 それこそ、食事の時だけ彼は解放されていた。

 今はベリルにもたれかかり、静かな寝息をたてている。

「可愛いもんだろ」
「……」

 ベリルは目を細めて2人の子どもを見つめた。

 パドメは酒の入った瓶をセシエルに手渡し、2人の子どもを静かに抱きかかえて寝床に向かった。

 ベリルにグラスを渡して、酒を注ぐ。互いに、酒の入ったグラスを軽く掲げて口に含んだ。

 しばらく語らい、ベリルは自分の家に向かう。

「……」

 途中、足を止めて星空を仰いだ。降り注ぐような満天の星。

 無意味な争いも、意味のある争いも、そのエメラルドの瞳は映してきた。

 ドラゴンの破壊には、果たして意味があるのだろうか? ベリルの表情が曇る。

 そうして、家の扉を開いた。
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