王国ファンタジア【流浪の民】
「ベリルだ……」

 言いながら、テイシンと名乗った人物の姿を見る。

 どう見ても、ただの街の住民のようだが……年の頃は30歳前後か。

「俺は王都代表で参加するんだ」
「! ああ、なるほど」

 相次ぐドラゴンの攻撃で、自薦でしか参加する者がいなかったとベリルはみた。

 まさか、門番とケンカしてそいつと対等に戦うために参加したなどとは、さすがのベリルも予想していないだろう。

 参加理由は不純だが、意気込みだけは人一倍なようだ。

 荷車に体を預け、赤茶けた太めの短髪の男はフッとニヒルな笑いを浮かべた。

「……」

 ベリルはどうコメントしていいものやら苦笑いを返す。

「俺は荷車を引かせたらファンタジアいちだ。頼もしい仲間だと思うぜ」

「! ほう」

 配達屋か。それならば、それなりに力にはなる。
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