王国ファンタジア【流浪の民】
「!」

 ピューマの様子に気づき、18歳ほどの少年はベリルに顔を向けた。

「ピューマが見えるんですか?」
「ハッキリとは見えんがね」

 少年は怪訝な表情を浮かべてベリルを見つめる。

「あなたは?」
「ベリルだ。討伐隊の1人だよ」

…-この人。流浪の民だ。

「流浪の民?」

…-草原の民と同じ、戦士だよ。
風を読むパンパスたちと違って、『気』の流れを読むんだ。

「! へえ」
「そのせいだろうね。彼が見えるのは」

 ベリルはピューマにニコリと笑いかけた。

…-僕の声も聞こえる?

「聞き取りづらいが、なんとか」
「みんなそうなんですか?」

 ベリルは肩をすくめる。

「さあ、どうだろう。こういうものも個人差があるからね」
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