王国ファンタジア【氷炎の民】
(そういえば、レジィはどこだ?)
炎を宙に浮かべてあたりを照らし出すと、自分のすぐ側にあった古井戸の向こう側に小さな従者と雪狼が倒れているのが見えた。
そっと手を当ててみれば、どちらも酷く濡れてはいるが暖かい。
息もごく自然だ。
(眠っているだけか?)
どちらの水分も飛ばしてやると、雪狼がまず目を開けた。闇に緑に光る瞳であたりを見回すと、大儀そうにまた瞼を落とす。どうやら周りに危険はないらしく、惰眠を貪ることに決めたらしい。
「うん?」
今度はかすかに身じろぎをしてレジィが目を覚まし、どこかぼんやりと焦点の合わない青い瞳でじっとサレンスの顔を見つめる。
「そんなに見惚れるほどいい男か?」
からかうように問うサレンスにレジィは酷く嬉しげに笑う。
「あ、やっぱりサレンス様だ」
「なんだ、私はサレンス以外の誰に見えるって言うんだ?」
そう聞くとレジィは一瞬びっくりした顔になったが、平静を装うように殊更に乱暴に言い放った。
「サレンス様が何人もいたら大変ですっ!」
炎を宙に浮かべてあたりを照らし出すと、自分のすぐ側にあった古井戸の向こう側に小さな従者と雪狼が倒れているのが見えた。
そっと手を当ててみれば、どちらも酷く濡れてはいるが暖かい。
息もごく自然だ。
(眠っているだけか?)
どちらの水分も飛ばしてやると、雪狼がまず目を開けた。闇に緑に光る瞳であたりを見回すと、大儀そうにまた瞼を落とす。どうやら周りに危険はないらしく、惰眠を貪ることに決めたらしい。
「うん?」
今度はかすかに身じろぎをしてレジィが目を覚まし、どこかぼんやりと焦点の合わない青い瞳でじっとサレンスの顔を見つめる。
「そんなに見惚れるほどいい男か?」
からかうように問うサレンスにレジィは酷く嬉しげに笑う。
「あ、やっぱりサレンス様だ」
「なんだ、私はサレンス以外の誰に見えるって言うんだ?」
そう聞くとレジィは一瞬びっくりした顔になったが、平静を装うように殊更に乱暴に言い放った。
「サレンス様が何人もいたら大変ですっ!」