愛の楔
言われた通りにそこに座る。
「―――で?」
「あぁ、俺そろそろ引退しようかと思ってな」
ふはぁっと煙管から口を離して白い煙を吐き出す。
「………は?」
「お前に組長の座を譲るって言ってんだ」
一瞬、親父が何を言っているのか理解できなかった。
「………寝言は寝て言え」
はぁ、と溜め息を一つ。
何を馬鹿なことを。引退だと?まだまだ50後半の奴が引退?………ふざけんな。
「もう決めた」
「………」
「下にも通達したからなー」
ニヤリと勝ち誇ったような笑みに俺は、殺意が目覚める。
「………んな早く引退して何するんだ」
「神賀に隠居でもしようかな」
母さんいるし。
「何でそんなに早く、」
「ん?まぁ、俺も60前だからさ、定年ってことで」