愛の楔
その笑顔は何か嬉しいことがあったようだ。
「どうした?」
「おめでとう」
「あぁ……知ってるのか」
さっきまで座っていた場所に座り直して、手につけかけた仕事を再開させる。
「勿論。やっと組長になるんだね」
「親父はまだまだ現役行けただろ……」
「でも、俺の主は若だし」
「………」
にっこにっこと効果音がつきそうなくらいに上機嫌だ。
俺が組長になるのが分かってるなら婚約の話も知っているのか。
「式は何時?」
「明後日………ついでに就任式と婚姻式もするそうだ」
「へぇ、また急ぐねぇ」
「?」
書類に向けていた顔を上げて澪を見る。澪は別段驚いている様子はない。
「どうしたの?」
「………珍しいな」
「?」
「明後日には見たこともない女が屋敷に入ってくるんだぞ?」
美空の時はあれだけ認めないだの言っていたくせに。