愛の楔
「お前も良い年だからな。心配ない。最っ高の女だ」
きっとお前も気に入るだろう。
「………否、親父…」
「―――美空ちゃんのことは、いいのだろ?」
「っ」
グサッと胸に突き刺さった。
婚約者、か………
別に良いか。気持ちがなくとも結婚すれば夫婦……
美空の笑顔が浮かんで弾けた。
「―――美空のことは、いい」
「なら、問題ないな?」
「そう、だな……」
周りはどんどん前に進んでいく。
しかし俺は、あの日から止まったままだった。
明後日。
明後日のその日に俺は前に進めるようになれるのだろうか。
上機嫌の親父をそこに、俺は、自室に引き返した。戻ると澪がいた。
「おかえりー」
俺に気づき、澪は笑みを浮かべる。