薔薇とアリスと2人の王子
普段はひとつに束ねてある赤髪がベッドのシーツに散って、なんだか凄い光景だった。
ほぼうつ伏せ状態で寝ているもんだから、イヴァンの顔は見えない。
彼を起こそうとしたアリスをカールは咎めた。
「無駄だよアリス。兄さんは人に起こされては起きない。自分から目を覚ましてもらわないと起きないんだ」
「どこまでも唯我独尊なのね……」
イヴァンが上半身裸で寝ている事にもアリスは呆れて、カールを連れてさっさと部屋を出た。
ちなみにイヴァンが起きたのはそれから3時間後だったよ。
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その日の昼、ひとりの小人が3人の部屋にやって来た。
「客人方、私たちは仕事に出るので留守番を頼みます。シャルロッテも家を出るそうなので」
そういう小人をじっと見つめてアリスは怪訝そうに言う。
「失礼だけど……あなたはハンス何? ハンスA?」
「Dです。ハンスD」
何しろ小人はみんな同じ顔だし、同じ木こりの恰好だ。アリスたちに見分けがつくはずないさね。