薔薇とアリスと2人の王子

 扉を閉めると、イヴァンの金色の瞳とぶつかった。

「その林檎は何だ?」
「今のお婆さんから預かったのよ。シャルロッテに渡してって」

 アリスはそう答えてやる。イヴァンも納得して頷いていた。
 すると椅子に座っていたカールから軽快な笑い声がしたもんで、二人は揃ってカールを見た。

「へえ、その林檎を渡せって? 面白いことを言うお婆さんだ!」
「何が言いたいんだカール」

 分からないんですか兄さん、とカールは笑いながら林檎を指差す。

「それきっと毒林檎だよ」
「――毒林檎っ!?」

 カールの思わぬ発言にアリスは大慌てで林檎をテーブルに置いた。

「普通の林檎より血の様に真っ赤だし――虫食いひとつない。不自然すぎる。毒が入ってる可能性が高いよ」
「カール……あなた、頭いいのね!」
「元からさ」

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