クロスロード
そして、その視線は隣にいる私にも。
『あの人って副会長の何?』と言いたそうな顔。
き、気まずい……
それこそ翠君は気にしていないけど、どうしても私は気になってしまうんだ。
釣り合ってないのは百も承知。
でも、でもね
分かっていてもどこか、寂しい。
もしこれが美鈴さんだったら『美男美女』って、騒がれたりするんだろうな……
「柚?」
「っあ……ご、ごめん、なに?」
気がつけば校門の外へ出ていて。
怪訝そうな顔で翠君が私を覗き込む。
どくんっと素直に揺れる心。頬に熱が集まっていく。
「道、分かんないだけど」
「え?道?……って、あっ、そうだった。えーと、とりあえず駅まで行きたいな」
昨日お父さんに聞いて確認したところ、乗換はなく電車一本で行けるみたいだ。
でもその電車が一時間弱かかり、更に電車を降りたら峰さん家の近くまではバスに乗る。
……道のりは長い。