クロスロード

もし、もしもだけど。

日高君だったら彼女さんが迫ってきてくれた場合、嬉しいんだと思う。


私が資料室でしたようなことされたら、喜ぶと思うんだ。


だけど翠君は違う。

マゾなわけないし私に迫られて嬉しそうな顔などしていない。


……嬉しそうな顔されたら吃驚しちゃうよ。


「あれ……そういえば日高君、どうしてこんなとこにいるの?」


今は丁度部活の時間なのに。

片手にカメラを握りしめながら教室にいる彼に今更質問を投げかける。



「それがさー、追い出されたんだよ」

「えっ、な、何で?」

「ってか実穂になんだけどさ、暗室で押し倒そうとしたらぶん殴られて……で、そのままここに」

「……」



次元が違いすぎる内容で呆気に取られてしまう。



あの、日高君……暗室で何やってるの!?

ここマイホームじゃないんだよ!学校だよ!



……って私も学校であんなことしたから人の事言えない。



正面に座る彼の口からは「二人きりだったんだからしょうがねーよな?な?」

と、同意を求められていたけど聞こえないフリをしてしまった。



それに、押し倒そうとしたならマゾじゃないんじゃ……?

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