アリスとウサギ

 ベッドから彼を見送り、カシャンと合い鍵が活用されたことに心が温まった。

 だけどウサギがいなくなって、急に部屋は静かになる。

 いつも一人で眠っていたシングルベッドが、やけに広い。

 布団をかぶってたって悪寒は治まらないが、ウサギの残り香に包まれると体が熱く感じた。

 いや、それは熱のせい?

 寝不足ということもあって、アリスはすぐに眠りについた。




 目覚めたのは午後。

 携帯の着信音がけたたましく鳴っている。

 ディスプレイには意外な人の名前が表示されていた。

「直人さん」

 ウサギに「俺より最低」といわしめた男。

 出るかどうか迷ったが、暇な自分には出ない理由も見あたらない。

 少し緊張しながら通話ボタンを押した。

「もしもし。お久しぶりです」

「久しぶり……でもなくない?」

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