アリスとウサギ

 全員分のレポートのチェックが終わったのは、情報処理室に入って1時間ほど経った頃だった。

 周りを見渡すと、50台くらいPCが並ぶ中、アリスを含めて6人の学生が作業をしている。

 キリが良いところで伸びをすると、カラカラカラ……とドアが開く音。

 後方の入り口に目を向けると、眠そうな顔をしたウサギだった。

 伸びのために両腕を上げていたアリスに、彼が気付かないわけがない。

「アリスじゃん。おはよ」

 ウサギは迷わずアリスの方に向かってきた。

「おはよう」

 他にも席は空いているのに、アリスの隣に座ったウサギ。

 いつもはゴムで束ねたり針金のようなカチューシャで後ろに流している髪は、サラサラと顔を隠している。

 チラ見えする整った顔が、どうにも色っぽい。

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