アリスとウサギ
ウサギはムクッと上体を起こし、寝ぼけた視線をアリスに向ける。
大きく伸びをしながらあくびをして、首をグリグリと回した。
軽く涙を浮かべ、それを拭うように目を擦り、
「おはよ」
ハスキーな声でそう告げる。
「おはよう」
アリスが返すと、ウサギは肩まで伸びた髪を束ね、背もたれにかけていたレザージャケットを手に持った。
そして鞄を置いたまま無言でどこかへと去っていってしまった。
トイレ?
いや、時間的に昼食かもしれない。
鞄なんて置いて行かれたら、あたしが食べに行けないじゃない!
心の中でクレームを付けても、相手に届くわけもない。
再び戻ってくるということに間違いはないから、アリスはそれまでの時間、集中して作業を続けることにした。