アリスとウサギ

 彼の視線と言葉にギュウギュウと締め付けられて、アリスは言葉を発することもままならなかった。

 横で盛り上がっているメンバーの笑い声に救いを求めたかったが、できそうもない。

 この気持ちが計画的に作られたことに泣きそうになる。

 アリスは震える声を押さえ込んで、必死に低く声を出した。

「どうしてあたしなの?」

「ん?」

「他にも女の子はいるじゃない。ここにだって、四人も」

 ウサギはフッと笑い、また大きく喉ぼとけを揺らしてグラスを空けた。

 アリスは意識的にそこを見ないようにした。

「決まってるじゃん。大学の女になんて興味なかったけど、アリスが特別にイイ女だったから」

「それも、術?」

「さあ? でも、俺がアリスに触れたいってのは素直な気持ちだよ」

「もう十分でしょ?」

「足りないねぇ。突っ込んでないし」

 このアゴヒゲウサギ、突っ込むことしか頭にないのだろうか。

 ああ、そうだった。

 こいつの頭の三分の一は、女が占めているんだった。

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