セツナイロ


「ごめん…あたしそろそろ帰んなくちゃ。」


「待てよ…」

立ち上がろうとするあたしの腕をユウくんが掴んだ。

そのままクイッと引き寄せられ、あたしの体は簡単に倒れた。



「きゃっ…」

ポスッとユウくんの胸の上に落ちたあたし。



「待てよ…」

今度を抱きしめられる。


「ずっと…
ずっとこうしたかった。

…キスしても…いい…?」

耳元で囁かれた声にあたしの体はピクンと反応する。



「だっ…め……だよ……」


「ごめん…俺我慢できねぇ…」

その時重なった唇と唇。



「シてもいい…?」

こののまま…溺れてしまえばいいんだ…。

あたしはコクリと頷く。



ゆっくりソファの上に押し倒され、もう一度、今度は深いキスを交わす。










……


聞こえるのはあまい吐息と、偽りの愛の叫び






あたしたちは重なった







でも…


あたしの心は埋まらなかった




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