セツナイロ



その日の昼休みだった。


あたしは何時ものように、こっそり屋上に出て手に持ったおにぎり1個を食べようとしていた。


その時だった。



ギィと屋上の鉄製の分厚いドアが重々しく開き、数名の男女の声が聞こえた。



あたしは咄嗟に隠れようと体勢を右に向けたが、時既に遅し。



男女の声が止み、あたしの姿をその瞳達が捕らえた。


「…わぉ、こんなとこで会えるなんてっ…」

1人(女子と思われる)が少し興奮気味な声で言った。

「ん?
噂のタニバタさん?」

続いて男子も。


あたしはうつむく。

今のあたしの顔は最高にブサイクだ。
落ち込んで、他人で寂しさを埋めようとしている。

そんなあたしに男女は少しずつ近づいてくる。


ついにあたしの視界に1人の女子の靴が入る。

咄嗟にあたしは瞼を固く閉じた。



コナイデ…!



「うっわぁっー!
やっぱしチョー可愛いわっ!」

その子の声を合図にしたかのように、あたしの体が傾く。

また倒れる!!
思ったのもつかの間。

あたしは同性の子に抱きしめられていた。



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