セツナイロ


ギィーと、重い音を響かせ、屋上の鉄製のドアが開いた。



“屋上から飛び降りてやろう”


そんな思いがなかった訳ではない。



でもあたしには出来ない事だ。


フられるのが怖くて告白も出来ないようなあたしに、死ぬ事なんてもってのほか。


きっと飛び降りる寸前に怖くてしゃがみ込んでしまうだろう。




あたしは真上の空を仰いだ。



黒い雲が隙間なく青空を隠していた。



予報では今日は雨らしい。


きっとアスカがオオカワラナツキと付き合う事になる事を、空は知ってたんだ。



あたしの頬に涙が一筋伝った。



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