セツナイロ
「さて…タニバタさん。」
「…はい。」
先生に連れられてきたのは校長室。
ふかふかのブラウンの皮張りのソファに腰を沈め、あたしはガチガチに緊張していた。
「はは、そんなに緊張しなくてもいいよ。」
そう言ってあたしの向かいに座る人が言った。
おじいさん…まさにそんな感じの人で、優雅な白い髪と、笑う度に出る目尻の深いしわが優しい印象を覚えさせた。
校長はその隣でどこか心配げに苦笑いを浮かべていた。
「タニバタ、こちらはお前のカウンセリングを受けてくだささるヒヅカ イチロウ先生だ。」
「はは、先生なんて、私はそんなたいそうなもんじゃないですよ。
ユズさん。
ただあなたとお話をしたかっただけなんです。」
そう言って笑う…ヒヅカ先生?が担任と校長を少しだけ困らせていた。
「さてと…そろそろユズさんと2人で話してもいいですかな?
こんな年寄りばかりではユズさんが参ってしまう。」
「いや、しかしですね…」
校長が額に汗を滲ませていた。
「使ってもいい教室はどこですかな?」
校長なんてお構いなしに、今度は担任に声をかけたヒヅカ先生。
その視線にビクンと担任の肩が少しだけ上がるのをあたしは見逃さなかった。