【長編】好きって言って
「何も望まないよ。傍にいてくれればいい」
そう言ってあたしは耀の胸に頭を寄せた。
すると耀はクスクス笑った。
「そんな簡単な事でいいの?」
簡単な事でいいの。
単純な事でいいの。
だってそれが1番嬉しい事なんだもん。
静かに頷くと、耀はあたしをギュッと抱きしめた。
「分かった……絶対離れないし。離さないから」
ホントに……。
何も望まない。
他の女の人仲良くしないでとか。
もっとあたしだけを見ててとか。
些細な事で我が儘言ったりしないから。