幸せのカケラ
そうか。

そうだったのか。


「幸せだから私は笑うの。だからあなたにも、笑っていて欲しいと思っているの」




ねぇ…と君は、イタズラを思い付いた子供の様な瞳で、僕の顔を覗き込む。





「50年後も、私がシワシワのおばあちゃんになっても、こうして一緒にいてくれる?」

「……そんなの」

「ん?」

「…当たり前だよ」



いるに決まってる。


何年経っても、どんなになっても、君と離れる事は無いよ。






「ふふ…あなた、顔が赤いわよ」

「赤くないよ」

「嘘、赤いわよ」






からかう君の笑顔。

楽しそうに、僕をからかう笑顔。



どんなになっても、何があっても、君が笑ってくれるなら。

50年後も君の笑顔が見れるなら、僕はいくら笑われてもかまわないんだ。


かまわないんだ。




「あなた、耳まで赤いわよ」

「赤くないよ。君こそ赤いよ」

「私は寒いからよ」


切り返しが上手いな。




僕を覗き込む君。

君の綺麗な顔。



ひょいと上体を屈め、君にキスをした。



君は驚いて、それから僕の鼻を摘んで笑った。


「不意をつかれたわ」

「油断するからだよ」
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