幸せのカケラ
僕の返答に君は笑って…。

今度は君から、キスをしてくれた。




柔らかい、君の唇。

日だまりの匂いがするキス。







見つめ合い、二人で笑った。


笑いながら手を繋いで、指をからめる。







「ねぇ…」

「なぁに?」

「あのさ…」

「ん?」

「お義母さん達に電話してさ…」

「うん」

「今夜一晩、娘を預かって下さいって頼めるかな」

「ぷっ……」





案の定、君は爆笑。




「笑う所?」

「ううん、ごめんなさい」



涙まで拭いてるし。







「逆にお母さん達、喜ぶわよ」





たまにはいいのかもねと、そう言う君。


たまにはいいよと、うなづく僕。




決定ねと君は、再び軽くキスをしてくれた。




僕は、そんな君を抱きしめる。








50年後も、僕は変わらず、こうして君を抱きしめるだろう。


暖かい、日だまりの匂いと一緒に。








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