~Snow White~『一巻』
「私たちの家はもう
ないって園長先生が言ったけど
思い出も何も残ってなくて
私には心の中の記憶と
ランドセルしか残ってないんです。
でも一度行ってみたい・・・・
私の幸せだった家に・・・・・
たとえもう残ってなくても・・・
アイスバーグが咲いてなくても・・・」


悲しくなって
花束を強く抱きしめた。



「だからこの花束を
両親のお墓に飾ってきたんです。
母がきっと
喜んでくれているって・・・・」



「そうか~
雪湖ちゃんは親孝行だね。」



「う・・・・ん
でも・・・やっぱり恨んでます。
どうして私をおいていったのかって。
両親がいてくれたら
私は孤独を知らずに生きてこれたんじゃないかって。」



稔が肩を優しく抱いてくれた。


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