~Snow White~『一巻』
車を降りて歩き出すと
運転手は走り去った。


私は見えなくなるのを
確認して
地下鉄に飛び乗り
マンションに向かった。


ひさしぶりに来たマンションは
悲惨だった。


「汚い・・・」


学校に電話をして
今日も休むと伯母のような
大人の声で言った。


それから・・・
智久の携帯に電話をかけた。


何度か鳴らして
出ないから
切った・・・
もう一度かけようとしたら
電話が鳴った。


智久の携帯だった。


私は受話器をとった。
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