自分に殺される
「私・・・死ぬんだよね?」
少女に聞いた

「そうね。残念だけど。」

「現に退屈だと思った、この世界。生きててもしょうがないのはわかってるけどさ・・・でも・・・殺すことをやめたりはしないの?」

少しでも生きたいと思っていたから


「やめないわ。」

答えが返ってくるごとに心は重く、悲しくなっていく。

「殺される時、苦しいよねぇ?」

「苦しいよ。こーやって首を絞めるんだから。」

と正面に居た少女が手を伸ばし、私の首に触った。

とっても冷たかった。

首にかかった手はまだゆるかった。

「締められない時とかないの?暴れたりとかしてさ・・・」

「ないよ。だって人間の力じゃないもの。どんなものでも締められる。」

私はいつの間にか泣いていた。片隅でこっそりと。

視野には微かに楽しそうに遊んでいる子が見えたりする。

それぐらい今は現実。

世界

人生

「あなたは殺す時、今までの思い出も友情も忘れてしまうの・・・?」

そう聞いたのは人間だからだった。

彼女の答えは冷たかった

「それが不思議と記憶の中からなくなっちゃうんだよね。憎いって表現しかなくなっちゃうの」

「残酷・・・すぎるよ・・・ぉ・・・」

私に楽しさをくれた少女に私は今、

殺される。

仲がいいのに殺されるのだ。

いつの間にか顔すら似なくなっていた。

初めて見た黒髪のおかっぱの青白い肌と、

鮮やかな着物。

瞼を閉じて

自分の息を確認する。

息をたくさん吸い込む

まだ生きている






大きく息を吸った。
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