窓に灯

 高速を降りた頃にはすでに0時を回っていた。

「そこの信号、右」

「はいはい」

「すぐ見えるコンビニ……そう、そこそこ」

 実家近くのコンビニに車を停めさせる。

「じゃ、ちょっと迎えに行ってくるから」

「あーはいはい。さっさと行ってこいよ」

「悪いな」

 俺は車を飛び出した。

 バス停そばのこのコンビニから歩いて3分ほど。

 走ったから1分くらいだろうか。

 静かな住宅街に俺と恵里の実家が変わらずそこにそびえていた。

 この時間だ。

 もう桐原家のインターホンを押すわけにもいくまい。

 俺は自らの実家へ飛び込んだ。

「ただいまっ!」

「えっ? 歩? どうやって帰ってきたの」

 母さんが驚いているが、今はそれどころではない。

 階段をかけ上がり、自分の部屋へ。

 窓の向かいが恵里の部屋だ。

 シャッ

 カーテンを開くと、恵里の部屋の窓に灯りが点いていた。





< 41 / 53 >

この作品をシェア

pagetop