窓に灯
合縁奇縁




 俺は何年もこの窓から恵里の存在を確認してきた。

 片想いをしてきた10年間。

 諦めて別の恋をしていた時期にも。

 向かいの窓に灯りが点いていると、恵里がそこにいるんだと思っては安心した。

 物心が付いた頃から、ずっと恵里は俺の特別だった。

 他の誰かになんて、もう渡したくない。



 俺は窓辺から恵里に電話をかけてみた。

 コール音はするが、出ない。

 これくらい想定内だ。

 次にメールを送ってみる。

〈窓開けて〉

 返信もなければ窓が開く気配もない。

 これも想定内だ。

 怒っているときの恵里はメールすら開かないのを知っている。

 予定通り、強行突破だ。

 俺は隣の兄貴の部屋からとあるものを持ち出し、再び恵里の部屋に向かった。

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