オサナナジミ


語ったっていうよりは変なこと言ってたって方が正しいかな?


その後しばらく話していたけど、ふやけて来たため、あがることにした。


自分たちのパラソルが見えてきたとき、喧嘩する声が聞こえてきた。


しかもそれは聞き慣れた胡桃の声。


急いでいってみると、蓮クンと胡桃が喧嘩していた。


さっきのとは違う険悪な雰囲気。


アタシの姿を見つけると、胡桃が泣きながら駆け寄ってきた。


話を聞ける状態じゃなく、一旦ホテルに戻ることにした。


部屋に着く頃には胡桃の涙も乾き、少し落ち着いた様子だった。


『何があったの?』


沈黙を破って訊いてみた。


「グスっあのね・・ヒック・・蓮、浮気してた」


消え入りそうな声で胡桃は言った。


『浮気?』


「ぅん・・喋ってたら、蓮に電話がかかってきたの。でも、やっぱいいやって。グスっ電話にでなかったの。でさ、冗談のつもりで女?って訊いたらあらかさまに戸惑ったような顔すんの。蓮のケータイ奪って、着信履歴の最新のとこ見たんだ。そしたら、グスっ〈俺の愛しの瑠実〉とか書いてあんの。」


胡桃は泣き崩れてしまった。


アタシは胡桃の背中を優しくさすっていたが、頭の中は怒りで満ちていた。


蓮クンがそんな人だったなんて。


最低だよ。


男として以前に人として最低だよ。


人の気持ちをもてあそぶなんて。


最低。


信じられないよ。




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