オサナナジミ


なんかあったんだよね


人の名前は一段と物覚えの悪いアタシがこの人を憶えている


何か印象深いことがあったんだよ


でもそれが何なのかもわからない


「未穂チャンだよね?」


その人がアタシに声をかけてきた


低いハスキーボイスだった


聞き覚えのある声


でも思い出せない


『そうですけど・・』


「あれ?俺のこと憶えてない?辰也だよ。山崎辰也」


山崎辰也?


聞き覚えのある名前


声も名前も思い出した


でも肝心の人が思い出せない


何があったのか思い出せない


『なんでアタシのこと知ってるんですか?』


「え?もう忘れちゃった?陸の友達だよ!」


あぁそうだ


お兄ちゃんの友達だ


よく家にくる人だ


いつも大人数だからほとんど憶えてないんだけど、この人は特別


お酒が苦手らしく、お兄ちゃんの部屋には居場所がないという理由でアタシの部屋にくる


だったらなんで飲み会に参加するの?って感じだけど


くだらない話をしてくるんだけど、なんか落ち着くっていうか


第2のお兄ちゃんって感じ
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