恋せよ乙女

「では氷室さん、また放課後にでも会いに来ますね!待っててください!」


未だソファーに座ったままの氷室さんに一礼し、背を向ける。放課後まで長いなぁなんて思いながら、ドアノブに手をかけた。

――刹那。


「待ちなよ、紫音。」


ドアを開けるのを妨げるように、掴まれた右手…

誰に、だなんて、そんなことを改めて考えるほど馬鹿ではない。今のこの状況、そんなことができる人物は一人しかいないのだ。

ゆっくりと視線を上げれば、目の前には案の定、さっきまで座っていたはずの氷室さんがいた。
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