恋せよ乙女
一人、さらなる思考の深みにはまるあたしをよそに、氷室さんは「それに、」と続ける。
「加藤隼人しかり、山宮昴まで呼び捨てなのに、どうして僕はいつまで経っても“氷室さん”なんだい?同い年のくせに、いつも敬語だし。」
あー…
確証ないなんて、そんなことないのかも。
ただ氷室さんに自覚ないだけで、あたしの努力は報われかけてるのかもしれない。
「……もう本当に、自分でもよくわからないんだ。だけど要するに、何だかキミの言動が気になって仕方がない。キミといると僕のペースが崩されて困る。僕らしくないんだ、どうしてくれるの。」
切れ長の、鋭い瞳があたしを捉える。その氷室さんの瞳が、微かに困惑で揺れた。