【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜
「爽らしいね」


練習を再開してから、励ちゃんが俺に向かって微笑む。


「ははっ、難しいな。いつも通りって」


俺だって一輝がいないことで動揺してるし、不安ばっかグルグルしてる。


でもキャプテンの不在中は、副キャプテンの俺がやるしかない…。

励ちゃんはエースだから、変に負担かけられないし。


俺の気持ちを皆に伝えながらも、気負わせずにチームを普段と同じ状態にするって難しい。




「爽がいてくれてよかった」


「へ?」


唐突過ぎる言葉に、マヌケな声をあげてしまった俺。

励ちゃんはニコッと笑って……


「頼りにしてる」


そう一言残してブルペンに戻って行く。


その言葉はくすぐったいけどうれしくて、俺は励ちゃんの背中に向けて叫んだ。


「励ちゃん!!愛してるーっ!!」
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