恋する受験生
ゲーム機の中を真剣にのぞき込む。
「ば~か」
またつぶやいてみる。
失敗すればいいのにと思って、UFOキャッチャーを見ることってあまりないから快感だった。
「あ~、もう!!」
頭のいい高校に行っていても、むしゃくしゃすることがあるんだろうか。
イライラした様子で、何度も何度も挑戦する。
気づくと、私は彼を応援していた。
11時になり、店員さんからそろそろ帰るようにと声をかけられた。
その彼も、声をかけられ、あと1回で終わりますんでと言った。
ガラスに顔をくっつけていたのは、彼だけじゃなかった。
私も、我を忘れて、見入っていた。
浮いた。
浮いた。
あ。
落ちた。
もう少しだったのに。
「くっそ~」
彼はそう言って、100円玉を5枚入れた。
500円で3回。
あと3回。
店内には、お別れの歌っぽい曲がかかっていた。
いつの間にか、もう私と彼だけ。
確か、名前は「俊」。
がんばれ、俊!!