恋する受験生
全速力で走って、俊の腕に絡みつく。
「あーー!!なつくな!こら」
逃げる俊。
追いかける私。
「ねぇ、俊!!紗江って呼んで。紗江、好きだよって言って」
「ばかじゃないの?お前!!絶対言わないから!!」
俊は照れると怒った口調になるんだよね。
かわいい。
家の前で立って待っていたお母さんは、私の笑顔を見て驚いていた。
「ただいまぁ!!お母さん!!」
「嬉しそうな顔して!!今日のことなんて全部忘れちゃったんでしょ」
私は俊の手を引っ張って、家の中へ入ろうとした。
「あ、僕はもうここで」
「まぁ、そう言わずに!!話聞いてやってちょうだい」
お母さんがそう言うと、俊は爽やかにお邪魔しますと言って上がってくれた。