恋する受験生
私は自分のほっぺを何度もぎゅっとつねってみた。
痛い。
痛いってことは夢じゃない?
「夢じゃないよ。俺は本物だから…… お前の真っ直ぐで素直なところがいいと思う。俺にはないから、すげーなって思った」
「それって…… 好きってこと?」
子供だからまだわかんない。
はっきり言ってくれないとわからない。
私は、俊のマフラーを引っ張って、下にずらす。
口元の動きをちゃんと見たいんだもん。
「言わせるなよ!そんなこと」
「ちゃんと言ってくれないとわからない。言って!!」
「あ~!めんどくせぇ。……好きに決まってんだろ!!」
また怒ったような口調。
今度は俊がスタスタと歩き出す。
「待ってよぉ、俊!!」
「うるさい!!」