切恋~First Love~





「・・・・・・お前、顔死んでるぞ」


・・・誰のせいで死んでると思ってんの。


言葉を発した隣の奴に向かって、心の中でつぶやく。


「無視かよ」


「・・・聞こえてるってば・・・・・・はぁ・・・」


まだ1時間目なのに、今日何回目なんだろうという溜め息。


今こんなに悩んでるっていうのに・・・。


「俺の隣に死骸ができたら困るんだけど」


コイツ・・・神崎涼の顔を見るだけで、一瞬でも気持ちが軽くなる。


それが何だか、物凄く悔しい。


「・・・うん、ごめん。・・・・・・はぁ・・・」


どんなに憎まれ口を叩かれても、関わることができているから逆に嬉しくなってしまう。


本当、どうにかしてる。


「・・・お前、頭大丈夫か?」


「何がよ」


「いっつもより物分りがいいじゃねぇか。どっか打ったのか?」


「・・・失礼な」


・・・ほら、今だって。


自分でも無意識の、些細な変化に気付いてくれてる。


嫌味に聞こえる言葉も、いつものあたしとの違いに気付いてくれた証拠。


嬉しくて、嬉しくて・・・・・・でも複雑。


・・・そんなことされたら、もっと好きになっちゃうよ。


今までに経験したことのない気持ちが、次から次へと溢れてくる。


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