切恋~First Love~
「・・・じゃあ、今日はここまで」
いつもは嫌になるほど長く感じる授業も、この頃はなぜか短く感じる。
考えごとが多すぎて時間が足りない、ということの表れなのかな。
いや、分からないけど。
チラッと横目で神崎涼を見る。
・・・・・・だけど。
誰がこっちを見ていると予想しただろう。
神崎涼とバッチリ目が合った。
たまたまこっちに目をやっていただけかもしれない。
あたしが目を動かすのとほぼ同時にこっちを見ただけかもしれない。
でも、だけど。
「・・・な、に・・・」
神崎涼の目は、あたしを捕らえて離さない。
あたしも目をそらせない。
目をそらしてしまえれば楽なのに、何でだろう。
奴の金色の髪と実によく似合っている、こげ茶色の瞳。
そんなところまでパーフェクトでムカツク。
「お前、頭にゴミのってるぞ」
前方から、手がのびてくる。
そして一瞬触れて、戻っていくそれ。
心臓が暴れまくる。
こっちの身にもなって欲しい。
「・・・っどーも・・・」
目を泳がせ、しどろもどろになりつつもお礼を言った。