レクイエム

リゼンレーナ

──リゼンレーナ。
ユリスティア国の首都である。きっちりと区画された美しい街並み。所々に流れる水路、噴水。
その全てが調和しており、他国の者も観光に来る程だ。

8時間程街道を歩いた為、陽は傾いている。燈色に染まる街。さらに美しさを増す。


「やっと着いたね」


感慨深そうにクーラが呟いた。いつもは船で偽装入港していた。堂々と地を踏みしめるのはまた違った感覚だ。
街を走る道はどれも広く、それなりの人数の行き来がある。


「で、目当ての知り合いはどこなんだ」

「貴族街よ。王城方面にあるよ」


この街も何度か歩いた。細かい路地裏などは分からないが、ある程度の地図は頭の中にある。

出来る限り知人の家に行くのに近い道を選んでいく。

──それにしても何か妙だ。


「ねぇ見てあの人」

「わぁ…」


街の歩く人歩く人が振り返る。女性に至っては頬を紅潮させている者までいるではないか。
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