心の傷
章也くんの声が遠くの方から聞こえてくるような気がする。
言ってしまいたい。
今の気持ちや誰にも言えない想いを口に出来たらどんなに心が解放されるだろう。
今の苦しみも半分に減るかもしれない。そうと分かっていても私はそれを口にする事が出来なかった。
言えないよ……。
私が唇を噛みしめて言葉を呑みこんだ時、女の人の声が私を現実に引き戻した。
「遥日ちゃん?そんなところで一体、何をしているの?」
はっと我に返って声をした方を見ると、そこにはママがいた。ママは驚いたように私と章也くんを見つめていた。
きっと今の状態を見て何か誤解しているのだろうということはすぐに分かったが、そんな事よりも私をパニックに陥れた事があった。
そこにいたのはママだけじゃなかった。ママの隣にはママと同じような表情をした吉田さんが立っていた。
ママと吉田さんは手をつないでいる。それが私には耐えがたい事実として現実を突きつけた。
吉田さんはママのものだ。
どんなに慕っても私のものにはなる事のない人だ。
「遥日ちゃん、その男の子はだあれ?」
ママの言葉に章也くんが私の肩から手を離す。
言ってしまいたい。
今の気持ちや誰にも言えない想いを口に出来たらどんなに心が解放されるだろう。
今の苦しみも半分に減るかもしれない。そうと分かっていても私はそれを口にする事が出来なかった。
言えないよ……。
私が唇を噛みしめて言葉を呑みこんだ時、女の人の声が私を現実に引き戻した。
「遥日ちゃん?そんなところで一体、何をしているの?」
はっと我に返って声をした方を見ると、そこにはママがいた。ママは驚いたように私と章也くんを見つめていた。
きっと今の状態を見て何か誤解しているのだろうということはすぐに分かったが、そんな事よりも私をパニックに陥れた事があった。
そこにいたのはママだけじゃなかった。ママの隣にはママと同じような表情をした吉田さんが立っていた。
ママと吉田さんは手をつないでいる。それが私には耐えがたい事実として現実を突きつけた。
吉田さんはママのものだ。
どんなに慕っても私のものにはなる事のない人だ。
「遥日ちゃん、その男の子はだあれ?」
ママの言葉に章也くんが私の肩から手を離す。